パネルを何枚まで直列にできるか。つなぎ方を間違えると、晴れた冬の朝にチャージコントローラーが壊れます。しかも日射がいちばん弱い時間帯に壊れるので、原因に気づきにくい。
先に、お手元の構成で確かめてください。
この構成で大丈夫か、その場で確かめる
お手元の数字を入れてください。冬のいちばん寒い朝の開放電圧を計算します。
計算式: Voc × 枚数 ×(1 + 温度係数 ÷ 100 ×(25 − 最低気温))。 開放電圧はパネルの仕様表(STC 25℃)の値です。日射があっても負荷がかかる前は この電圧が出ます。
数字を変えると判定もその場で変わります。「安全」以外が出たら、次の章の対処に進んでください。
「危険」が出たらどうするか
直列を 1 枚減らし、減らした枚数で別の列を作って並列につなぎます。直列は電圧が、並列は電流が足し算になるので、並列に逃がせば電圧の上限を踏まずに同じ枚数を使えます。
図1 ― 橙の点が電流。直列は 1 本の流れ、並列は 2 本が合流する。
| 直列 | 並列 | |
|---|---|---|
| 電圧 | 枚数ぶん上がる | 1 枚のまま |
| 電流 | 1 枚のまま | 枚数ぶん増える |
| ケーブルと距離 | 細い線で遠くまで運べる | 太くなる。電圧降下も大きい |
| 影の影響 | 列の全体が引きずられる | 影のない列は生きる |
| 曇天・朝夕 | 立ち上がりが早い | 起動電圧に届きにくい |
パネルから小屋まで距離があるなら直列を長めに。時間帯で影が動いたり屋根の向きがばらばらなら、並列に分けたほうが総発電量は安定します。
なぜ冬の朝がいちばん危ないのか
パネルの電圧は気温で動きます。しかも直感と逆で、寒いほど電圧は上がります。夏の暑い盛りではなく、よく晴れた真冬の朝がいちばん高くなります。
図2 ― 3 枚直列なら冬の朝でも窓に収まる。4 枚は上限を突き抜ける(点滅している棒)。
温度補正を省くと、この例では 14V ぶん見落とします。しかも開放電圧が出るのは夜明け直後、コントローラーが動き出す前です。いちばん電圧が高くなる条件が、いちばん無防備な瞬間に重なります。計算にはその土地の過去最低気温(気象庁の観測値の極値)を使ってください。
なお、上限のほかに下限もあります。こちらは夏の暑い日に効いてきます。
| 項目 | 意味 | 例(48V システム) |
|---|---|---|
| 最大入力電圧 | 超えると壊れる。保証も効かない | 150V |
| 起動電圧 | これ以下では動き出さない | バッテリー電圧 + 5V 程度 |
| 最低動作電圧 | 下回ると充電が止まる | 約 53V |
影は 1 枚で列の全体を止める
電流は、直列につながれた全部を同じ量しか流れません。つまり 1 枚に影がかかると、その 1 枚の電流に全体が引きずられます。
図3 ― 点の速さが電流の大きさ。上段は影で遅く、下段はバイパスダイオードが迂回させて戻る。
バイパスダイオードは最初から入っていますが、それでも 960W が 639W まで落ちます。影は「少し暗くなる」ではなく「その列から 1 枚が丸ごと消える」と考えてください。電柱、アンテナ、冬の低い太陽で伸びる隣家の影。夏至の昼だけ見て決めないこと。
決め方の手順
150V なのか 450V なのかで、組める枚数がまるごと変わります。
気象庁の観測データの極値を使います。体感や平年値ではありません。
超えるなら直列を 1 枚減らし、別の列にして並列につなぎます。
Vmp × 枚数が最低動作電圧を上回っていること。割ると充電が止まります。
影が動くなら、直列を短くして並列の列を増やします。
安全のために
直流は交流と違って、自分で消える瞬間がありません。交流は 1 秒間に 100 回ゼロを通るのでアークが切れます。直流のアークは、繋がったまま燃え続けます。
- 通電中にコネクタを抜かない。必ず先に直流ブレーカーで切る
- 開放電圧の実測は、日射がある時間帯に、テスターの直流電圧レンジで
- MC4 コネクタは必ず専用工具で圧着する。手締めは発熱して溶ける
- ヒューズは並列の列ごとに入れる。1 列の事故で他の列から逆流するのを止める
よくある質問
- パネルを増やすとき、直列と並列のどちらを足せばいい?
-
上のツールに増やしたあとの枚数を入れてみてください。90% 以内に収まるなら直列を伸ばすほうがケーブルが細くて済みます。超えるなら、同じ枚数の直列をもう 1 列作って並列にします。既存の列に 1 枚だけ足すのは避けてください。
- 中古パネルと新品を混ぜてもいい?
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同じ列の中では混ぜないこと。直列は電流が、並列は電圧が揃っていないと弱いほうに引きずられます。混ぜるなら「同じ型番だけで 1 列」を作り、列どうしを並列にしてください。
- MPPT ではなく PWM のコントローラーでも同じ考え方?
-
違います。PWM はパネルの電圧をバッテリー電圧まで落とすだけなので、直列で電圧を上げても捨てられます。直列で組むのは MPPT が前提です。
迷ったら直列は短く、並列を増やす。電圧の上限を踏むリスクが減り、影にも強くなります。その代わりケーブルは太くなるので、距離とのバランスで決めてください。
次は、ここで決めた電流値からケーブル径とヒューズを選ぶ話に進みます。


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